本研究では、可視光増感型複核錯体の創製とその精密有機合成への利用を目的に研究を行った。ルテニウムビスビピリジルを可視光増感部位として有するRu-Pd複核錯体を種々合成し鈴木宮浦カップリング反応へと適用したところ、ビピリジルに電子供与性置換基を有する錯体を用いて反応を行うと、これまで報告された錯体と比較し最も高い触媒活性を示し高収率で目的のカップリング生成物を与えることが明らかとなった。また、触媒回転数(TON)もこれまで報告された錯体と比較し、最も高く今回の研究目的である、光エネルギーの化学エネルギーへの変換とその精密有機合成化学への利用という目的の一端を達成したといえる。
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