研究実績の概要 |
近年の不登校,いじめなどの学校不適応の増加の背景として,子どもの社会的スキルの未発達が指摘されている。本研究の目的は,[調査1] 幼児期の社会的スキルの発達に関連する育児環境の特徴を明らかにし,[調査2] その社会的スキルの発達が,学童期の学校適応に及ぼす影響を明らかにすることである。 H26年度は,幼児期の社会的スキルの発達に関連する育児環境の特徴を明らかにする為,[調査1]を実施した。調査方法は,H26年10-12月,愛知県内の幼稚園52施設,保育園78施設に在籍する年長児(5-6歳児)5,024名を対象とし,その養育者へ育児環境に関する自記式質問紙調査を実施した。また,担任の幼稚園教諭及び保育士が,社会的スキル評価指標を用いて,児の社会的スキル(協調,自己制御,自己表現)を評価した。 有効回答の得られた,3,298名を分析対象とした。性別は,男児1,684名,女児1,614名であった。育児環境と社会的スキルの発達との関連を分析したところ,①育児方法(援助的かかわり,養育態度の一貫性など),②両親の関係性(夫婦間の衝突,協力関係など),③社会経済的状況(世帯収入,両親の教育歴及び就労状況など)が児の社会的スキルの発達と関連を示した。 H27年度は,社会的スキルの発達が,学童期の学校適応に及ぼす影響を明らかにする為,[調査2]を実施した。調査方法は,H27年10-12月,[調査1]に参加頂いた小学1年生(6-7歳児)3,298名を対象とし,その養育者へ学校適応に関する自記式質問紙調査を実施した。 有効回答の得られた,1,712名を分析対象とした。性別は,男児887名,女児825名であった。幼児期の社会的スキルの発達と学童期の学校適応との関連を分析したところ,様々な育児環境因子の影響を調整しても,社会的スキルの発達は学校適応に有意な関連を示した。
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