本研究の目的は、骨腫瘍切除症例における術後早期の機能回復を得るための新たな骨欠損再建法を開発 することである。再生医療技術を用いて骨髄間葉系細胞から作製した『骨形成細胞シート』を移植し、骨腫瘍切除によって生じた広範囲骨欠損を早期に骨癒合させる技術開発の基礎となる研究を行った。骨腫瘍切除後の再建術では、一般的に骨盤から採取した自家骨に加え、放射線照射や液体窒素処理等による殺細胞処理を行った自家骨移植が行われるが、健常部からの採骨は合併症や採骨量の問題に加え、移植床の形状に適合させにくいという弱点がある。そのため、切除した骨腫瘍を殺細胞処理し再建に利用する手技が開発された。しかし、形状の適合は容易であるものの、殺細胞処理によって生物学的活性が低下しているため移植床との骨癒合が得 られにくいという課題があるため、良好な骨癒合を得る治療法が求められている。そこで、我々が確立した骨形成細胞シート移植を殺細胞処理骨による再建術に応用することで、殺細胞処理骨と移植床間の骨性架橋を獲得し早期に骨癒合を得る新たな骨腫瘍切除再建方法を確立するための基礎実験を行った。
|