生後、特に離乳期以降の数週間は咀嚼機能の獲得に極めて重要な時期である。加えてこの時期は急激な脳神経発達が起こる。しかしながら、離乳後の咀嚼が脳機能に与える影響、また行動に影響を及ぼす分子基盤は依然として解明されていない。本研究は離乳後に軟食soft-diet(powder chow)、あるいは硬食hard-diet(solid chow)を摂食させたマウスモデルを用いて、幼少期の咀嚼機能獲得期における食餌形状の違いが発達期及び成長後の脳の可塑性に及ぼす影響を、分子生物学的から行動学まで生物階層性の段階を追って解析することを目的とした。離乳後の咀嚼が脳機能に与える影響、また行動に影響を及ぼす分子基盤は解明するため、離乳後に軟食soft-diet(powder chow)、あるいは硬食hard-diet(solid chow)を摂食させたマウスモデルを用いて、幼少期の咀嚼機能獲得期における食餌形状の違いが発達期及び成長後の脳の可塑性に及ぼす影響を、分子生物学的から行動学まで生物階層性の段階を追って解析した。 グリア細胞(オリゴデンドロサイト)のマーカーであるNG2、CAIIを用いてそれぞれのモデルマウスでの脳内の発現を観察したところ、硬食群の方が強発現の傾向にあることが認められた。幼少期の咀嚼等の養育環境が成長段階における神経ネットワークに可塑的変化をもたらす可能性があることが示唆された。
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