研究実績の概要 |
本研究の目的は、キュアとケアを統合して治療期の進行肺がん患者の呼吸困難感をマネジメントする統合的看護介入モデルを開発することである。平成26年度は、治療期の進行肺がん患者の呼吸困難感に対する認知と取り組みを明らかにすることを目標とし、文献検討の実施、インタビューガイドの作成に取り組んだ。 肺がん患者の呼吸困難感について、国内では、薬物療法や呼吸リハビリテーション、鎮静によるマネジメントが報告されているが、多くは終末期の肺がん患者を対象としている。また、看護師の苦悩(宮坂ら,2014)や日常生活援助の判断過程が明らかにされているが、事例研究から看護の在り方や役割を検討している文献が多くみられた。また、進行肺癌患者を対象に調査し、体験や情緒的反応(橋本ら,2011)、対処が明らかにされているが、呼吸困難感の認知や取り組みは明らかにされていない。国外では、呼吸困難感との関連因子として、がんに関連するもの、喘息、COPD、不安や抑うつ、倦怠感や疼痛などが明らかにされ(Dudgeon,2013ほか)、精神的因子が呼吸困難感の認知を増幅させると考えられている(Brueraら, 2002)。がん患者の呼吸困難感のマネジメントについて、ガイドラインや治療アルゴリズムが開発され、エビデンスに基づく看護介入も示されているが、非薬物療法の多くはエビデンスが不十分であり、看護介入の指針については示されていない。 以上のことおよびtotal dyspneaとして捉えることが提唱されていることを踏まえ、全人的な側面から進行肺がん患者の呼吸困難感の認知および取り組みを明らかにするインタビューガイドを作成し、プレテストを実施した。現在は、所属施設の看護研究倫理審査委員会の承認を得て2つの施設に研究依頼を行い、返事待ちである。研究協力が得られ次第、データ収集を進めていく予定である。
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