本研究は、高齢者が住み慣れた地域で生活を続けていくことを支援するために、移転(以下、リロケーション)を支援する看護ケアを明らかにすることを目的とした。 まず、先行研究をもとにリロケーションの枠組みをまとめ、インタビューガイドを作成した。半構造化面接は、研究者が所属している大学の倫理審査委員会の承認を得て実施した。次に、研究協力者の所属施設と研究協力者から研究の同意を得て、急性期病院から亜急性期病院にリロケーションした高齢者の看護ケアに関わる看護師を対象に半構造化面接を行った。得られたデータの内容は逐語録におこし、リロケーションを支援する看護ケアの抽出し、コード化を行った。研究協力者は、30代前半~40代後半の看護師であった。面接時間は、平均55.7分であった。 得られた高齢者のリロケーションケアとして、看護師は高齢者自身の持っている力を見定め、その力を基盤とし、本来のその人らしい生活を創造できるように支援していた。また、高齢者自身の心身の状態の変化を注意深く捉え、身体負荷とその人が望むニーズとのバランスを図ることを心がけていた。さらに、入院早期から高齢者に家に帰れるという道筋を示すことや、病気を肯定的に捉えることができるように小まめに足を運び、相手に関心を寄せ続ける姿勢で関わっていることが明らかになった。 今後、得られた研究成果をもとに、高齢者の入院時の環境適応を促し、身体的・心理的苦痛から生じるリロケーションダメージの回避につながるケアガイドラインの開発を行っていく重要性が示唆された。
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