本研究は空腹が摂食嚥下運動に及ぼす影響について,頚部の運動に焦点を当てて検討することを目的とした。被験者は健康な若年成人男性および女性20名とし、空腹時と非空腹時における頚部角度と摂食嚥下時間の比較と頚部の運動パターンの分析を行った。結果、空腹時は非空腹時と比較して頚部角度が有意に小さく、摂食嚥下時間も有意に短縮していた。また、空腹時は摂食嚥下の間中,複数回頚部を動かしていた。従って、空腹は摂食嚥下時に頚部をより前屈させ,それが摂食嚥下時間の短縮をもたらしていることと,単に前屈だけではなく,頚部を複雑に動かすことで個々人にとって摂食嚥下しやすいような頚部角度に調整していることが考えられた。
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