研究実績の概要 |
1)aCGH解析:ASD患者において解析を継続し、CNVを検出している。いくつかのCNV中の候補遺伝子について、病因であることの確認のために、他のASD患者で変異の有無を解析している。 2)シナプス関連および概日リズム関連遺伝子のASD患者における変異解析 ASD睡眠障害なし群14例(男 5名、女9名、年齢3歳~28歳)、ASD睡眠障害あり群14例(男12名、女2名、年齢3歳~19歳)、正常コントロール23例に対してシナプス関連候補遺伝子、概日リズム関連遺伝子のパネル作製、次世代シークエンサーを用い、変異解析を行った。対象遺伝子:ARNTL(Bmal1), CLOCK, PER1,2,3,CRY1,2, CSNK1D, CSNK1E, NR1D1, TIMELESS, BHLHE40(Dec1), BHLHE41(Dec2), NFIL3(E4bp4), DBP, MTNR1A, 1B, VIPR1,2, AVPR1A,1B, OXTR, SCTR。 ASD群では睡眠障害あり群(P=0.007)、なし群(P=0.002)ともコントロール群と比べ有意に概日リズム関連遺伝子の変異が多く検出された(ASD群全体vsコントロール群ではP=0.001)。概日リズム異常がASD発症に関与している可能性が示唆された。 3)既に変異同定している、概日リズム関連遺伝子(Timeless)のノックアウトマウスを作製し、既にF1マウスを得た。Timelessの変異例は概日リズム異常とASD症状を有する男児で検出された。患児は、低身長(-3.3SD)で乳児期早期から入眠は2から6時、起床は13時から16時の睡眠パターンで、同変異を有する母親も同様の睡眠パターンと興味の限定などASDの一部の症状を有していた。患児に対し高照度光療法を施行したが、睡眠パターン、メラトニンのピークのは変化しなかった。今後、同マウスを用い解析に着手する。
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