小児在宅医療推進の施策により在宅で生活する医療ニーズの高い重症心身障害児(者)(以下重症児)が増え、医師が常駐しない障害福祉施設を利用する機会が増えている。重症児の健康状態は変化しやすく利用中の急変もありうる。また、状態悪化による在宅生活の中断や断念も多い。この状況下において障害福祉施設に勤務する看護師はニーズに応じたケアや高度な判断を求められるが、重症児ケア経験のある人材は少なく、人員不足から研修機会も得られにくい。よって、本研究の目的は、障害福祉施設を利用する重症児の健康状態、医療ニーズとその看護の実態を明らかにし、障害福祉施設に勤務する看護師が、利用者の体調を維持・管理し、体調変化に速やかに対応するために必要な知識やスキル、教育内容の示唆を得ること、および、重症児がQOLを保ち、在宅生活を続けていくために必要な具体的な看護支援を明らかにすることである。 当該年度は、関連文献等の検討により、重症心身障害児の健康問題に関すること、重症心身障害児施設等における対象者の状況やニード、看護師の特徴、および、看護師への教育の教材の現状等を検討し、それらの結果に基づいて自記式質問紙を開発した。開発した質問紙は、2箇所の日中活動支援事業所に勤務する看護師の意見を聴取し、修正を重ねた。 質問紙に含める既存尺度の使用許諾申請を行い承認を得た。 研究期間中に予定している2つの研究、質問師調査および面接調査に関して、所属施設の倫理審査を申請し承認を得た。
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