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2014 年度 実績報告書

皮膚の恒常性維持における細胞死の役割

研究課題

研究課題/領域番号 26893265
研究機関東邦大学

研究代表者

朴 雪花  東邦大学, 医学部, 博士研究員 (70739812)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワード皮膚炎 / 細胞死 / apoptosis / ケラチノサイト / cFLIP / バリア機能 / 皮膚の分化 / TNF
研究実績の概要

本研究では、恒常性維持におけるcFLIPの機能を明らかにするため、ケラチノサイトサイト特異的なcFlip欠損マウスを樹立し、次の点を明らかにした。ケラチノサイト特異的なcFlip欠損(cFlipEKO)マウスとTnfr1欠損マウスを交配するとメンデルの法則に従い出生してくるが、生後5日目から著明な皮膚炎を発症し、10日目には全個体が死亡する。皮膚炎を発症したcFlipEKO;Tnfr1-/-マウスの組織学的な解析では、異所性の角化や角化の亢進が認められた。また、基底層や有棘層に発現するK14、K5の発現は、異常が認められなかったが、中期分化マーカーであるK10の発現は野生型のマウスと比較して、二重欠損マウスでは発現が低下し、分化後期のマーカーであるloricrin、filaggrinの発現も低下し、皮膚炎を発症した二重欠損マウスの皮膚の分化は中期から障害され、これらの分化障害が皮膚炎の発症に関与すると考えられる。
皮膚の病変部位における炎症性細胞の解析すると、野生型とcFlipEKOマウスから採取した皮膚切片において、F4/80陽性細胞、CD11b陽性細胞は存在せず、CD3陽性細胞は少数存在したが、野生型とcFlipEKOマウスには差が認められ無いことから、マクロファージ、顆粒球、T細胞は皮膚炎の発症には関与しないと考えられる。
また出生直後の野生型とcFlipEKOマウスの皮膚からケラチノサイトを採取し、アポトーシスやネクローシス誘導刺激に対する感受性を検討した結果、cFlipEKOマウスの皮膚から採取したケラチノサイトはTRAILや抗Fas刺激に対し、細胞死が亢進した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた、ケラチノサイトサイト特異的なcFlip欠損マウスを樹立し、そのマウスは胎生18.5日に致死となることを見いたした。cFlipEKOマウスとTnfr1欠損マウスとの交配による二重欠損マウ(cFlipEKO;Tnfr1-/-マウス)を樹立し、このマウスはメンデルの法則に従って出生するが、出生後5日目に皮膚炎を発症し、10日以内に死亡することが明らかになった。皮膚の組織学的解析ではcFlipEKOマウスはケラチノサイトの細胞死の亢進の結果、重篤な皮膚炎が発症することが明らかになった。また出生直後の野生型とcFlipEKOマウスの皮膚から採取しケラチノサイトは、アポトーシスやネクローシス誘導刺激に対する感受性が亢進していた。ケラチノサイト分化に関わるタンパク質の発現解析すると中期分化マーカーおよび後期分化マーカータンパク質の発現が低下する結果を得た。皮膚の病変部位における炎症性細胞の解析では、マクロファージ、顆粒球、T細胞の局在しない結果をえた。

今後の研究の推進方策

1) cFlip欠損によるサイトカインなどの遺伝子発現への影響を解析する。野生型とcFlipEKOマウスから採取した皮膚において、マイクロアレイを用いて網羅的な解析を行う。マイクロアレイによって得られたデータから、cFlip欠損皮膚組織で発現が上昇する遺伝子を同定する。
2) マイクロアレイ解析によって同定された遺伝子の皮膚炎の誘導や増悪への関与、また代償性増殖への関与を発現上昇が認められた炎症性サイトカインに対する中和抗体投与により明らかにする。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 その他

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [学会発表] 皮膚バリア機能におけるcFLIPの役割2015

    • 著者名/発表者名
      PIAO XUEHUA
    • 学会等名
      平成26年度順天堂大学アトピー研究センター研究プロジェクト評価会議
    • 発表場所
      東京文京区順天堂大学10号館第一会議室
    • 年月日
      2015-03-12
  • [図書] Current Topics in Microbiology and Immunology "Apoptosis"2015

    • 著者名/発表者名
      Nakano H, Piao X, Shindo R, Komazawa-Sakon S.
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      Springer International Publishing AG
  • [備考] 東邦大学生化学講座ホームページ

    • URL

      http://tohobiochemi.jp

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公開日: 2016-06-01  

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