研究課題/領域番号 |
26893269
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
城所 淑信 順天堂大学, 医学部, 助教 (60514487)
|
研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
|
キーワード | 遺伝性難聴 / 幹細胞移植 / コネキシン / Brn4 / ギャップ結合 |
研究実績の概要 |
Brn4はニューロンや、蝸牛細胞の分化に関わる転写因子であり、X染色体性の非症候性難聴では最多の疾患であるX-linked deafness type3(DFN3)の原因遺伝子として知られているが、その機序は未だ不明な点が多かった。しかし研究代表者城所淑信はBrn4-KOマウスのギャップ結合を観察することにより、Brn4と先天性難聴の最多原因遺伝子であるCx26,30の間に共通の分子病態があることを見つけた。そのため、現在治療研究が進んでいるCx26変異難聴と同様の治療研究論が、Brn4変異難聴にも応用できる可能性が高い。 現在Brn4ノックアウトマウスを当研究室にて繁殖している、交配を進め、BRN4ノックアウトマウスが安定供給が可能な環境を構築した。また、ABR(聴性脳幹反応)の測定も可能であり、安定した測定結果を得ている。移植に使用する骨髄骨髄間葉系幹細胞の培養も行っており、現在半規管からの経半規管外リンパ液還流による細胞移植を行うため、全身麻酔下でBrn4-KOマウスの後半規管および外側半規管に小孔を設け、後半規管側外リンパ液中へ移植細胞を入れた細胞液を還流を行い、手技の精度向上の条件を絞り込んでいる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在移植実験に必要な準備段階の実験は終了している。Brn4ノックアウトマウスは安定供給が可能な環境があり、難聴の程度を測定するABR(聴性脳幹反応)検査は再現性が高く精度の高い測定結果を得ている。移植に使用する骨髄骨髄間葉系幹細胞の培養も行っており、現在主要な実験である、半規管からの経半規管外リンパ液還流による細胞移植にとりかかっている。移植手術の麻酔条件、小孔部位、還流の速度、手技全般など細かい条件を調節している段階である。今後も手技の精度向上の条件を絞り込んでいく。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は移植にもっとも重要な、移植手技自体の精度向上を図る。 移植の精度が向上するには大きく3つの要素があると考えている。 ①細胞側の条件(細胞液濃度、投与量、投与速度) ②マウス側の条件(麻酔、術中温度、アプローチ、移植部位) ③移植手技の条件(カテーテル挿入方法、カテーテル径) このうち、最も重要なのは細胞液の濃度とカテーテル径と考えている。細胞濃度が高いと、粘度が高くマウスの組織内で生着する可能性も向上するが、カテーテル内で詰まり、細胞液を安定してマウスへ移植できない可能性も出てくる。この条件を決めるのが今後の研究の課題である。
|