研究実績の概要 |
Brn4はニューロンや、蝸牛細胞の分化に関わる転写因子であり、X染色体性の非症候性難聴では最多の疾患であるX-linked deafness type3 (DFN3)の原因遺伝子として知られているが、その機序は未だ不明な点が多かった。しかし研究代表者城所淑信はBrn4ノックアウトマウスのギャップ結合を観察することにより、Brn4と先天性難聴の最多原因遺伝子であるCx26, 30の間に共通の分子病態があることを見つけた。そのため、現在治療研究が進んでいるCx26変異難聴と同様の治療研究論が、Brn4変異難聴にも応用できる可能性が高い。 現在Brn4ノックアウトマウスを当研究室にて繁殖している、交配を進め、Brn4ノックアウトマウスが安定供給が可能な環境を構築した。 また、ABR (聴性脳幹反応)の測定も可能であり、安定した測定結果を得ている。移植に使用する骨髄間葉系幹細胞の培養も行っており、現在半規管からの経半規管外リンパ液還流による細胞移植を行うため、全身麻酔下でBrn4ノックアウトマウスの後半規管および外側半規管に小孔を設け、後半規管側外リンパ液中へ移植細胞を入れた細胞液を還流を行い、移植細胞生着の精度向上の条件を絞り込んでいる。 マウスの半規管は微小であり、安定した移植細胞の生着を得るには、マウスの年齢、移植環境、麻酔環境、移植細胞の条件、移植手術手技の向上などさらなる条件検索が必要である。
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