研究課題/領域番号 |
26893273
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
高橋 正皓 昭和大学, 歯学部, 助教 (10736713)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 神経堤由来細胞 / 再生医療 / 骨芽細胞 |
研究実績の概要 |
① 成体顎下腺における神経堤由来細胞の局在解析:成体P0-Cre/CAG-CAT-EGFPマウス顎下腺の新鮮凍結切片を作製し、GFP抗体を用いて、免疫組織学染色を行った。神経堤由来細胞は、成体顎下腺組織において、腺房部に局在している可能性が示唆された。現在、Gpr4抗体、Ednrb抗体を用いた免疫組織学染色を行っている。 ② 成体顎下腺から高純度な神経堤由来細胞の分離法の確立:神経堤由来細胞をGFPで標識できる成体の遺伝子改変マウス、P0-Cre/CAG-CAT-EGFPマウスの顎下腺から、セルソーターを用いてGFP、Gpr4陽性細胞あるいはGFP、Ednrb陽性細胞の分離・回収を行い、分離・回収したそれぞれの細胞を蛍光顕微鏡で観察し、GFP陽性細胞の割合や純度を検証中である。それぞれの陽性細胞と陰性細胞からRNAを抽出しReal-time PCR法を用いて、Gpr4、Ednrb、神経堤関連遺伝子であるSox10、P75、snail、twist1の発現量を現在解析中である。 ③ 成体顎下腺から分離した神経堤由来細胞による多分化能の解析:セルソーターを用いて分離・回収した神経堤由来細胞を、アスコルビン酸、グリセロリン酸、デキサメタゾン含有の骨芽細胞分化誘導培地にて骨芽細胞へ分化・誘導した。骨芽細胞誘導・石灰化能を、アルカリホスファターゼ活性染色、アリザリンレッド染色にて評価を行った。今後、オステオカルシンやRunx2の遺伝子発現の検証を行う予定である。脂肪細胞、神経細胞への分化・誘導は現在行っている途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
組織学解析を用いた成体顎下腺における神経堤由来細胞の局在解析やセルソーターから分離・回収した神経堤由来細胞を骨芽細胞などへ分化・誘導する多分化能解析は、研究計画通りに進んでいる。しかし、細胞表面タンパク質の発現を利用した、神経堤由来細胞の高純度分離回収法の確立に関しては、予想以上にセルソーターを用いて分離・回収できる神経堤由来細胞の数が少ないことやGFP、Gpr4陽性細胞、あるいはGFP、Ednrb陽性細胞をより高純度に分離・回収するセルソーターの設定条件を検討しているため、研究計画からやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度研究の改善・検討事項として、 1.1回の実験に使用するP0-Cre/CAG-CAT-EGFPマウスの匹数を増やし、顎下腺から回収できる細胞数を増加させる。2.先行研究で既に構築したDNAマイクロアレイ法による網羅的遺伝子発現解析の結果から得られた、約40,000遺伝子の中から、細胞表面タンパク質を中心に、再度、新たな候補遺伝子の選定を行う。3.分離・回収した神経堤由来細胞の骨芽細胞、脂肪細胞、神経細胞への分化誘導実験では、それぞれの細胞特性を引き出すために、必要に応じて培地の種類、培養期間や各分化誘導因子の種類や添加量を変えて行う。4.免疫組織染色法を用いた顎下腺における神経堤由来細胞の局在解析では、抗体の希釈倍率や切片の種類をパラフィン切片へ変更して行う。 今後、免疫不全モデルマウス(CB17/lcr-Prkdcscid/CrlCrlj:Scidマウス)を細胞移入実験のレシピエントとして、頭蓋骨に直径3mm円状の自然修復しない骨欠損部を作成し、足場となるコラーゲンスポンジと共に分化誘導した骨芽細胞を移植する予定である。移植後、4週と8週目における欠損部の骨形成について、1.高解像度μCTを用いて、形態的に骨形成の解析を行い、2.RT-PCR法を用いて、骨芽細胞のマーカー遺伝子であるアルカリホスファターゼ(ALP)、オステオポンチン(OPN)、骨シアロタンパク質(BSP)などの遺伝子発現について評価する。さらに、3.骨形成部の組織切片を作成し、HE染色や免疫組織染色法を用いて、組織学的に骨欠損部における骨形成の評価を行っていく予定である。
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