研究実績の概要 |
我々は、歯原性上皮を蛍光蛋白であるGFPで標識した再生歯胚を作製し、そのマウス顎骨内移植モデルを用いて、接合上皮が歯原性上皮由来であることを見いだしてきた。本研究では、当該モデルを用いて、GFPを指標に、これまで単離の難しかった接合上皮を採取し、その発現遺伝子を網羅的に解析することとし、下記の5項目を2カ年に亘り解析した。 詳細な実施内容は以下の通りである。 実体顕微鏡を用い、胎生15日のGFPマウスと同齢の野生型マウスから歯胚を摘出した。摘出した歯胚はそれぞれをディスパーゼ処理し、歯原性上皮組織と間葉組織に分離した。GFPマウス歯胚の歯原性上皮組織と野生型マウスの間葉組織をコラーゲンゲル内で再構成し、37℃4日間器官培養した。レシピエントとして、ソムノペンチル麻酔下で3週齢の野生型マウスの上顎第一第臼歯を抜歯、その後、2週間治癒を待ち、治癒を確認後、同様に麻酔下で歯胚を埋入した。接合上皮の回収は、萌出完了の移植後50日とし、頸椎脱臼にてマウスを屠殺後、上顎を分離、GFPを指標に、蛍光実体顕微鏡下で、上顎第一第臼歯相当部に萌出した再構成歯近傍の接合上皮と口腔上皮を回収した。回収した組織を1.25U/mL ディスパーゼで処理後、結合組織と分離、さらに、0.25%トリプシン・50U/mLコラゲナーゼを用いた酵素反応液にて処理することにより、上皮細胞を分散化した。回収した上皮細胞は、フローサイトメトリーを用いて、接合上皮をGFP陽性分画として採取し、同時に、GFP陰性分画として口腔上皮を採取した。cDNA microarrayを用いて,GFP陽性接合上皮細胞とGFP陰性の口腔粘膜上皮細胞の遺伝子発現を比較検討した結果、接合上皮細胞では、口腔上皮と比較して、過去に報告したSecreted Leukocyte Protease Inhibitor(SLPI)が高度に認められた。
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