研究実績の概要 |
申請者らは鉱質コルチコイド受容体 (MR) の病的な活性化が食塩に関連した臓器障害に中心的な役割を果たすことを明らかにし、MR阻害薬が慢性腎臓病(CKD)の治療薬として有望であることを報告した (Shibata et al. Nat Med 2008, J Clin Invest 2011)。またMRの活性調節機構としてリガンド結合領域のリン酸化の重要性を示した (Shibata et al. Cell Met 2013)。本研究は腎臓におけるMR制御機構の全貌解明を主目的とする。
(1) MRのリン酸化を担うキナーゼを同定するため、リン酸化サイトおよび周囲配列に相当するペプチドを合成し、リコンビナント・キナーゼとの反応によるスクリーニングを開始した。最終的には400にも上る候補キナーゼについて、in vitroでのMRのリン酸化作用の評価を目指している。同定されたキナーゼについてはRNAiノックダウン等の手法を用いて細胞内でのリン酸化作用を確認する。 (2) 上記(1)で同定したキナーゼ分子についてCKDモデルにおける活性の変化を検討し、また組織特異的遺伝子改変動物の作出を試みる。これらの結果から、CKDにおける病的なMRシグナル活性化のメカニズムが解明され、CKD治療薬の創生にむけた新規標的分子の同定が期待される。
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