平成26年度にインタビュー調査の準備をすすめ、平成27年度終了までに、医療施設3施設、福祉施設6施設の計9施設でピアスタッフと働いた経験をもつ専門職者20名に対し、インタビュー調査を実施した。そのうち18名のインタビュー内容を研究対象として分析を行った。18名の内訳は、女性12名、男性6名、平均年齢41.9歳(範囲29-65)、ピアスタッフと働いた当時の職種は、精神保健福祉士7名、看護師6名、臨床心理士3名、医師1名、作業療法士1名であった。ピアスタッフと働く経験は、精神障がいを経験した人と支援者・被支援者関係ではない関係を構築するという意味をもち、働くもの、支援者、困難を抱える当事者等の共通の立場をもつ関係をつくる契機となっていた。こうした背景には、リカバリー志向の実践や教育の広がり、我が国で発展してきた地域精神保健の先駆的な取り組み、WRAP等の当事者中心の新たな支援への取り組み、といった歴史的・社会的出来事があり、ピアスタッフと協働する経験に影響を与えていた。精神保健医療福祉サービスにおける新たな職種としてのピアスタッフへの期待と同時に、労働における障がい者への合理的配慮、ピアサポートに関する専門性についての質の保障等、日々の課題への効果的な取り組みを工夫、模索していた。平成27年6月には日本精神保健看護学会第25回学術集会にて、ワークショップ「ピアと協働してつくるメンタルヘルスサービス」を企画、開催し、看護専門職によるピアスタッフとの協働の可能性について検討した。
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