本研究は、歯髄炎に伴う異所性異常疼痛の発症機構を解明する目的で遂行した。歯髄炎を生じると、炎症歯髄を支配する三叉神経節細胞活動が著しく亢進し、三叉神経節細胞にToll-like Receptor 4が強く発現し、舌に異所性異常疼痛が発症することを確認した。さらに、Heat shock protein 70が炎症歯髄組織で合成されて三叉神経節に運ばれ、三叉神経節細胞から放出されて口腔顔面領域を支配している三叉神経節細胞上のTLRに結合することにより、炎症歯髄神経を支配する三叉神経節細胞だけでなく、その周辺部に存在する三叉神経節細胞にも作用し、活動性の増強をもたらすことを明らかにしている。
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