研究課題/領域番号 |
26893300
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
浅野 きみ 金沢医科大学, 看護学部, 助教 (10735351)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | リンパ浮腫 / マウス |
研究実績の概要 |
本研究では、リンパ浮腫郭清後であってもリンパ浮腫が生じる人とそうでない人がおり、その原因を明らかにするためにマウスを使用してリンパ浮腫の発生機序を探る。またリンパ浮腫の軽減を目的として用手的ドレナージが行われているが、リンパ浮腫のリンパがどのように排泄されるのかのメカニズムを明らかにする。さらに、リンパ浮腫のリンパが排泄メカニズムから、患者自身で行えるドレナージ用の簡易な器具を考案することを目的としている。 これまでに、パテントブルーやインドシニアグリーン(赤外線で蛍光を発する色素)を用いてマウスのリンパ管を同定し、リンパ管を観察することは行えた。また、その手技を用いてリンパ節を確認し、リンパ節切除を行うという手技も獲得できた。 リンパ節切除し、インドシニアグリーンを注入したところ、リンパの流れが途切れているところを確認できた。しかし、末端はやや浮腫状ではあるが、その状態が継続されずに数日で改善されてしまうので、リンパ浮腫を起こしていると断言できる状況ではない。今後はリンパ節の切除部位を変えてリンパ浮腫の作製を行うか、さらに検討していく予定である。 また、観察のために連日のペントバルビタール投与や三剤混合麻酔の腹腔内投与を行うと、小腸壊死や腹水貯留でマウスが死亡してしまうことがあったため、身体侵襲が低いといわれているイソフルランの吸入麻酔下での観察を試みたところ、現時点ではマウスが麻酔のために死亡することはなく経過している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
交付決定からの期間が短かったことや、麻酔手法の変更とその確立に時間を要してしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は以下の手順で実験を進め、学会発表、論文作成していく予定である。 1.リンパ浮腫が発生する個体と発生しない個体のリンパ管切断部位での組織学的観察:切断部位の組織を採取する。光学顕微鏡を使用して免疫組織学的に観察(リンパ管、間質液などの染色)と電子顕微鏡を使用してリンパ管などの超微細構造の観察を行う。2.発生機序を解明する。3.リンパ管腔の再建の方法を検討する。4.リンパ浮腫を発生させたマウスに、用手的リンパドレナージを行い、流れを観察する。5.リンパ浮腫軽減の新しい器具を考案する。
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