研究課題/領域番号 |
26893302
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研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
長澤 久美子 常葉大学, 健康科学部, 講師 (80516740)
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研究期間 (年度) |
2014-08-29 – 2016-03-31
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キーワード | 家族介護者 / 性差 / 否定的情動反応 / 肯定的情動反応 |
研究実績の概要 |
本研究は、今後増加が予測される認知症患者を介護する家族の「ストレス反応と肯定的な反応」である情動反応を明らかにし、性別で比較検討することで男性介護者の特徴を明らかにすることを目的とした。 対象は、全国の地域包括支援センター1500ヶ所(返信数101、返信率6.6%)・居宅介護支援事業所700ヶ所(返信数71、返信率10.1%)から紹介者された、認知症家族を介護している介護者463名、有効返信数348名(返信率78.8%、内有効回答率95.3%、男介護者137名、女性介護者211名)である。 調査内容は、介護者・要介護者の状況、日本語版SMQ、介護の実際、介護の動機、改訂版在宅介護ソーシャルサポート尺度、対処法略である家族介護者対処スタイル、介護観、介護の意欲、今後の不安であり、家族介護MBI尺度の下位尺度である「情緒的消耗」と「離人化」を「否定的情動反応得点」として,また介護肯定感尺度を「肯定的情動反応得点」として使用した。分析は記述統計及びステップワイズ法による重回帰分析を行った。 その結果、男性介護者特有の影響要因は、否定的情動反応得点の高さには、「介護に時間がとられ思うように仕事ができない」「我慢できずに手を挙げる」「ベッド上でのおむつ交換」、肯定的情動反応得点の高さには「仕事を辞めてまでも介護を行う」「入浴介助を行う」「通所サービスの利用あり」「副介護者の存在なし」が影響していた。また、否定的情動反応得点と肯定的情動反応得点とは弱い逆相関があった。 結論として、男性介護者は、女性介護者に比してストレス反応は低かった。また男性介護者・女性介護者では重回帰モデルに違いがあるため、それぞれの特性を考慮した支援が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H26年度は、全国の包括支援センターから紹介を受け認知症家族を介護している介護者に対して、情動反応とそれに関連する要因について質問紙調査及び分析を行う予定であった。おおむね計画通りには進んだが、紹介依頼施設である地域包括支援センターからの返信率が低かったため(7.8%)、全国の居宅介護支援事業所700ヶ所にも協力を依頼した。在宅介護者の協力者の有効回答数は348件であり、予定数より少ない状況であったが、本研究の限界であると考えた。 質問紙の集計・分析を行い、男性介護者・女性介護者それぞれの情動反応に関連する要因が明らかとなった。 その後、男性介護者の特徴をもとに、支援プログラムの内容の検討・作成及び評価方法の検討を行い、現在プログラムの実施準備の段階である。 そのため、おおむね予定通りに進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
現在介護をしていない男性を対象とした「認知症家族の介護」に備えた教育プログラム(以下 男性介護者準備プログラム)の開発とその有効性を検討するという目的で、現在研究参加者100名(プログラム実施群50名、コントロール群50名)を募集している。プログラムは、講義と演習(認知症について、認知症予防、男性介護者の体験、リラクゼーション法、おむつ交換について)、及びグループディスカッション等の学習形態を用い、1週間に1回、1回130分、計2回実施する。場所は、常葉大学の教室を使用し行う予定である。 しかし、プログラム参加者がなかなか集まらず、募集範囲を広げているところである。
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