研究実績の概要 |
Ross による炎症が動脈硬化の形成に関連するという研究報告は、心血管系疾患のメカニズムの解明に新たな方向性をもたらした(Ross. N Engl J Med,340,1999)。 歯周炎は、グラム陰性嫌気性菌である歯周病関連細菌の代謝産物と生体細胞との相互作用により炎症反応が亢進し、歯肉の炎症及び歯槽骨の吸収が進行する慢性炎症性疾患である。また、歯周病とアテローム性動脈硬化の間には相関関係があることも示唆されているが( Beck et al, Atheroscler Thromb Vasc Biol,21,2001)、歯周病が動脈硬化に関与する詳細なメカニズムについては未だ明らかではない。 今回の研究では,病的な血管リモデリングが血管平滑筋の増殖、遊走、新生内膜形成を介してアテローム性動脈硬化等の心血管病の進展において重要な過程となることに着目した。 具体的には,血管リモデリングにおける歯周病の関与について解明すためにマウスモデルを作成し、血液や血管などの生体サンプルや培養細胞を用いた実験を行い、in vivo, in vitroの両面から歯周病が血管リモデリングに及ぼす影響とそのメカニズムについての分析を実施している。
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