研究課題
本研究では、(1)in vitroにおける三次元腸管粘膜再構築モデルを作製し、(2)腸管吸収性の異なる物質やオリゴ核酸分子をモデル医薬品とした再構築モデルの基礎的評価を行うことを目的とした。一般的に、これまで薬物の腸管吸収モデル等はCaco-2単層培養細胞系が繁用されてきたが、これらのモデルでは粘膜層が存在せず、粘液層が寄与する非攪拌水層や脈管系への薬物移行過程を反映させることが困難であり、ヒトにおける吸収予測や吸収動態評価系としては不十分であった。さらに、本研究室で開発中の核酸製剤デリバリーシステムの脈管系への移行動態の解明が必要であった。本研究において、ヒト腸繊維芽細胞とヒト大腸癌上皮細胞による三次元構築基礎モデルおよび粘膜分泌細胞を用いた粘膜層を持つ基礎モデルは構築できたが、腸繊維芽細胞は先行技術である皮膚繊維芽細胞を用いたモデルに比較して、細胞重量が軽く、構築した細胞層のインサートに対する接着力が弱いことから、構築後に細胞層ごと剥離してきやすく、リンパ管、血管の構築を行うのに必要な日数、細胞層を培養状態で保持することが非常に困難であった。そこで、通常インサートには細胞播種前に細胞外基質をコーティングして行うが、細胞外基質そのものでできたインサートを用いることにより、細胞剥離に対する問題に対応した。また、これまでの構築モデル作製法では、細胞同士の間に距離が生じ、筋繊維細胞層が疎になり、透過性実験使用に耐えれなかったが、細胞コーティング段階の条件を変更することにより、改善を図った。全体として、再構築モデルの基礎的な作製はできたが、予想を超えた困難があったため、今後も引き続き改良を行い、将来的には薬物動態移行モデルとして繁用されるような、in vivo モデルに匹敵するin vitroモデル作製を行っていきたい。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
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Drug Discoveries & Therapeutics
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http://www.osaka-ohtani.ac.jp/department/pharmacy/news/201512_3516.html
http://osakaohtani-yakuzai.wix.com/pharmaceutics