研究課題
昨年度の研究を継続し、Kdm4bfox/flox;MMTV-Creマウスより得られた乳腺上皮細胞の分化表現系の形質的な差異および特徴について明らかにすることを主目的とし、昨年度から本年度にかけて樹立した、乳腺上皮特異的Kdm4bノックアウトマウス、Kdm4bfox/flox;MMTV-Creの表現系解析を行った。乳腺上皮細胞分化の過程で、Kdm4bがどのような遺伝子群を制御するのかを明らかにするため、マウス乳腺上皮細胞より抽出したRNAを用いて、標的候補遺伝子の発現変化を調べ、Kdm4b欠損乳腺上皮特異的に上昇あるいは低下している遺伝子を同定した。RNAシーケンスを行い、Kdm4b特異的な信号伝達系とKdm4bにより制御される転写産物の解析を行っている。昨年度行ったKdm4b欠損乳腺上皮を用いたエピゲノム解析のための基礎実験に基づき、標的遺伝子のChIP解析を行った。また、Kdm4b欠損が乳がん発症に及ぼす影響を明らかにする目的で乳がんモデルマウスとの交配を行い、コーホート研究を行っている。現在までの実験結果は、Kdm4bが乳腺上皮細胞分化に重要な役割を果たしており、乳がん発症に寄与する可能性を示唆している。本研究で得られた結果は国内学会等で発表した。また、Kdm4bが他のがん種の発症・進展に影響を与える可能性を調べる目的で、国際共同研究を行った。Kdm4bが脳腫瘍の増殖を制御していることを明らかにし、論文として発表した。乳腺の表現系解析から得られた我々の結果と、共同研究から得られたこれらの知見は、Kdm4bが、複数のがんの発症・進展に重要な役割を果たすことを示唆するものと考えられる。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)
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