インプラント周囲炎治療薬の候補であるポリリン酸が,炎症性骨吸収を促進するシグナル伝達機構に及ぼす影響を検討した.グラム陰性菌細胞壁構成成分リポポリサッカライドにより活性化されたマクロファージにおいて,ポリリン酸はIRF3リン酸化を抑制することにより,早いSTAT1リン酸化を抑制した.また,ポリリン酸はIRF3リン酸化抑制とは異なる機構を介して遅いSTAT1リン酸化を抑制する可能性も示された.本研究によりポリリン酸の新たな作用機構が明らかとなり,インプラント周囲炎治療へポリリン酸を応用するにあたって有用な知見を得ることができた.
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