唇顎口蓋裂患者では、口唇形成術、口蓋形成術の術後瘢痕組織の収縮が上顎骨の劣成長や上顎歯列弓の狭窄を引き起こすなど、上顎の成長発育に対して抑制的に働くことが知られている。また、創傷治癒過程において、TGF-β1を介した線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化は瘢痕の収縮をきたすことが報告されている。本研究では、創傷治癒過程における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化メカニズムを検討し、薬剤的なアプローチにより瘢痕形成の抑制を行うことを目的とした。その結果、TGFβタイプⅠ受容体阻害薬が創傷治癒過程における線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を抑制し、瘢痕収縮を抑制する可能性が示唆された。
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