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2014 年度 実績報告書

血圧を規定する脳内ナトリウムセンサーの分子実体解明

研究課題

研究課題/領域番号 26893324
研究機関基礎生物学研究所

研究代表者

野村 憲吾  基礎生物学研究所, 統合神経生物学研究部門, NIBBリサーチフェロー (10734519)

研究期間 (年度) 2014-08-29 – 2016-03-31
キーワードイオンチャネル / 脳・神経 / 食塩感受性高血圧 / ナトリウム
研究実績の概要

1. 脳脊髄液中のナトリウム濃度上昇に応答した血圧上昇におけるNaxの役割:脳脊髄液中のナトリウム濃度が上昇すると血圧が上昇することから、血圧上昇には脳内ナトリウムセンサーが関与すると考えられるが、その実体は不明であった。そこで、Naxノックアウトマウスの脳脊髄液中に高ナトリウム液を持続的に注入し、血圧の変動を野生型マウスと比較した。
2. 食塩感受性高血圧におけるNaxの役割:脳におけるナトリウムセンシングは、食塩感受性高血圧の発症に関与することが知られている。食塩感受性高血圧モデルである、DOCA-食塩高血圧マウスをNaxノックアウトマウスで作製し、血圧上昇の有無を検討した。
3. 脳におけるNaxの主要な発現部位であるSFOとOVLTをそれぞれ局所電気破壊したマウスで、DOCA-食塩高血圧マウスを作製し、食塩感受性高血圧を発症するか否かについて検討した。
4. 食塩感受性高血圧は、AT1a/b受容体阻害剤であるロサルタンの脳室投与で抑制されることが知られる。マウス脳ではAT1aが主要なサブタイプであることから、AT1a陽性ニューロンの関与が予想される。そこで、AT1aノックアウトマウスでDOCA-食塩高血圧モデルを作製し、食塩感受性高血圧を発症するか否かについて検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初予定していた脳脊髄液中のナトリウム濃度上昇時の短期的な血圧上昇機構に替わって、平成27年度に実施する予定であった食塩感受性高血圧モデルに関する解析を前倒しでおこなうという変更点はあったものの、研究計画はおおむね順調に進展している。
今年度は、脳脊髄液中のナトリウム濃度が上昇した際の血圧上昇とNaxの関係に加え、食塩感受性高血圧モデルであるDOCA-食塩高血圧マウスにおける血圧上昇とNaxの関係について、医学的・生理学的に重要な成果を得ることができた。
現在は、Naxノックアウトマウスと食塩感受性高血圧がつながる仕組みについて解析をおこなっている。
このように、研究計画はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

今後は、Naxノックアウトマウスを用いたDOCA-食塩高血圧モデルを解析することによって、食塩感受性高血圧におけるNaxの役割を解析していく予定である。
まずは、Naxと食塩感受性高血圧の発症機序との関係を調べる。DOCA-食塩高血圧の発症における脳の役割は、交感神経の活性化、血中へのAVP分泌促進、血中への内因性ウアバイン様活性物質の分泌促進であると考えられている。これらが、Naxノックアウトマウスで抑制されていないか検討する。
次に、Naxと高血圧を結ぶ脳内機序の解析をおこなう。これに関しては、脳脊髄液中のナトリウム濃度上昇時の血圧上昇機構を解析する目的で予定していた手法を、DOCA-食塩モデルに置き換えて進める。脳脊髄液中のナトリウム濃度上昇時の血圧上昇機構と、DOCA-食塩モデルの血圧上昇機構は、大部分が同一の機序を介して起こると考えられるため、モデルの変更による研究計画への支障はない。具体的には、以下の3点を検討する。(1) NaxノックアウトマウスのSFOまたはOVLTへ、ウイルスを用いてNaxを強制発現させ、高血圧に対する抑制効果が減弱するか否かを確認し、どちらの神経核のNaxが血圧上昇に関与しているかを調べる。(2) c-Fosの免疫染色をおこない、Nax依存的に神経活動が変化する神経核を抽出する。(3) オプトジェネティクスの手法を用いて神経活動の制御をおこない、Nax依存的にc-Fos発現が変化していた神経核がDOCA-食塩高血圧に関与するか否かを調べる。

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公開日: 2016-06-01  

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