本研究の目的は、救急搬送が必要な独居高齢者が、緊急時通報システムが自宅に設置されているにもかかわらず、なぜ通報システムを使用しないのか、その要因を明らかにすることである。都内A区在住の独居高齢者12名を対象に、半構造的面接を行い、Krippendorffの内容分析を用いて分析を行った。結果、3つのカテゴリー【利用機会の喪失】【使用するには気を遣う】【使わなくてもいいという意思】が抽出された。 独居高齢者を取り囲む物理的・環境的要因だけでなく、心理的要因も明らかになったことで、本研究結果は「孤独死防止対策」「高齢者理解」「独居高齢者の在宅療養生活の継続」など多面的な場面において活用できると考える。
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