研究課題
肥満に起因する様々な病態において、脂肪細胞の産生するアディポサイトカインの果たす役割について解析を行った。インスリン抵抗性や組織線維化のメディエーターとして働くTHBS1について、病態形成における制御因子としての機能、また代謝性疾患のバイオマーカーとしての有用性を検討した。ヒト脂肪組織におけるTHBS1の発現及び血清THBS1レベルと肥満との関連性を検討した。外科的に切除されたヒト脂肪組織16例(平均BMI 22.8)について、THBS1遺伝子の発現を定量PCRにより検出したところ、内臓脂肪組織でのTHBS1の発現量は、皮下脂肪に比し約2.5倍有意に高値であった。内臓脂肪組織におけるTHBS1の発現量は、BMIと有意な正相関を、HDLコレステロール値とは負の相関を示した。皮下脂肪組織においてはこのような相関は認められず、THBS1の発現量は内臓肥満度とより密接な関連を示すことが示唆された。さらに6ヶ月間の食事・運動療法による減量治療例において、治療前後の血清THBS1値と肥満関連マーカーの変化量について相関解析を行った。閉経前女性では、血清THBS1値の変化量はBMIの変化量と有意な正相関を示し、また内臓脂肪量の変化量についても正の相関傾向が認められた。以上の成果に基づき、脂肪組織に由来するTHBS1と肥満がもたらす様々な代謝異常との関連について論文発表を行った。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Metabolism
巻: 64 ページ: 1490-1499
10.1016/j.metabol.2015.07.016