脂肪組織から産生されるアディポサイトカインの分泌障害や恒常性の破綻が、肥満に起因する様々な疾患の発症・進展に大きく寄与する。アディポサイトカインの分泌を制御する細胞内マシナリーとして、小胞体における翻訳後修飾機構に着目した。成熟脂肪細胞への分化に伴い、発現が誘導される一連の小胞体内レドックス制御分子を同定した。さらに細胞内への脂肪蓄積や脂質過酸化により、繊維化促進因子であるトロンボスポンジン1 (THBS1)が誘導されることを明らかにした。脂肪組織から産生されるTHBS1は、内臓脂肪型肥満の指標としての特性を有し、肥満に起因する様々な代謝異常のメディエーターとして働く可能性が示唆された。
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