[研究目的] 乳がんに対する薬物治療として、トラスツズマブなどのモノクローナル抗体や骨転移治療薬であるゾレドロン酸などが投与されるが、両薬剤の投与によってInfusion reactionや急性期反応が発現する場合がある。 本研究は、モノクローナル抗体によるInfusion reactionの発現率とビスホスホネート製剤の投与間隔の違いによる急性期反応の発現率の違いに着目し、Infusion reactionや急性期反応の症状が薬剤の種類や併用によって差があるか否かレトロスペクティブに調査することを目的とした。 [研究方法] 本院でトラスツズマブまたはトラスツズマブとペルツズマブが投与された乳癌患者10名を対象とした。電子カルテおよび本院のデータ収集システムであるCRISTAを用いて、年齢・乳癌のStage・治療歴・臨床検査値などの患者情報を入手するとともに、トラスツズマブまたはペルツズマブによるInfusion reactionの発現の有無について調査した。また、投与したビスホスホネート製剤の投与量、投与間隔および急性期反応の発現の有無について調べるとともに他の併用薬剤との関連性についての情報も収集した。 [研究結果・研究成果] ペルツズマブ投与患者10名のうち、Infusion reactionが発生した患者は1名のみであった。また、ビスホスホネート製剤が投与されていた患者は1名であり、両群間では関連性は認められなかった。ペルツズマブ投与患者、Infusion reaction発症患者およびビスホスホネート製剤投与患者が少人数であったため、統計解析等を実施することができなかった。今後、対象患者人数を増やし、検討を重ねる予定である。
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