研究課題/領域番号 |
58060001
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 正男 東大, 医学部, 教授 (90009887)
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研究分担者 |
藤田 昌彦 長崎総合科学大学, 助教授 (60103404)
永雄 総一 東京大学, 医学部, 助手 (40164397)
桜井 正樹 東京大学, 医学部, 助手 (30162340)
宮下 保司 東京大学, 医学部, 講師 (40114673)
福田 潤 東京大学, 医学部, 助教授 (50010062)
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キーワード | 小脳 / 長期抑圧 / 記憶 / 運動学習 / グルタメイト / 可塑性 / 前庭動眼反射 / サッケード |
研究概要 |
小脳における記憶系の構造と機能を解明し、その分子過程を明らかにするとともに、この記憶系の働きに基づいて行われる運動学習の機序を解明するのが本研究の目的である。この目的のため次の5つの実験計画を実施した。登上線維の信号と平行線維の信号の異シナプス間干渉によって、その平行線維とプルキンエ細胞間のシナプス伝達に「長期抑圧」がおこり、これが小脳の記憶の本質的なメカニズムを現わすと考えられるが、1)伊藤は金井と協力して長期抑圧の時間経過の長時間にわたる追跡を試み、電場電位の記録により一部これに成功している。2)桜井は小脳切片標本において長期抑圧を安定に再現することに成功し、カルシウムイオンの長期抑圧の発現に関与するメカニズムの解明を行っている。3)福田は河西と協力して組織培養した小脳細胞についてグルタメイト受容体の性質をしらべ、長期抑圧発現の分子機構の解明を試みている。これら小脳のシナプス可塑性の分子機構に関する研究と平行して小脳による運動学習の機序の研究を覚醒状態の動物を用いて行っている。4)永雄は小脳切片による前庭動眼反射の適応制御のメカニズムについて家兎による研究をつづけ、片葉への前庭、視覚、眼球速度の3種類入力の相対的な強さの測定を行っている。5)宮下は森と協力して片葉への視覚入力の局在を2デオキシグルコーズ法により明らかにした。6)藤田はこれら小脳の働きを表現する理論モデルの構成を試み、前庭動眼反射のみならず、サッケード眼球運動の小脳制御についてのシミュレーションモデルを提案するに至っている。
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