研究分担者 |
藤田 昌彦 長崎総合科学大学, 助教授 (60103404)
永雄 総一 東京大学, 医学部, 助手 (40164397)
桜井 正樹 東京大学, 医学部, 助手 (30162340)
宮下 保司 東京大学, 医学部, 講師 (40114673)
福田 潤 東京大学, 医学部, 助教授 (50010062)
FUKUDA Jun Faculty of Medicine, Univ. of Tokyo, Associate Prof.
|
研究概要 |
本研究は小脳における記憶過程の実体として長期抑圧現象を え, その生理学的性質と分子機構を解明するとともに, 長期抑圧を記憶過程とする運動学習の機序を眼球運動を実験系として動物実験およびシミレーション研究により解明することを目的として行われた. 昭和58年度より5年間にわたり研究代表者1 分担者6のほか, 研究協力者13(うち外国人3名)の計20名により実施された, 研究には麻酔ウサギにおける電気生理学実験, 覚醒サルにおける眼球運動の測定とニューロン信号の解析, 覚醒ラットにおける2-デオキシグルコ ズ法, 脳切片法における樹状突起内誘導, ニューロンの組織培養法が用いられた, その主な成果は, 1.研究代表者らが昭和57年発見した小脳の長期抑圧現象を, 脳内に存在するシナプス可塑性の4つの主要型の1つとして確立した, 2.長期抑圧の分子過程について, Ca^<2+>イオンの樹状突起への流入がその一つの段階であること, 最終的にはキスカル酸特異性グルタミン酸受容体の脱感作が起こるのを明らかにした, 3.小脳片葉が前庭動眼反射のみならず, 視機性眼球運動に対しても適応中枢として働くことを示し, 長期抑圧を記憶過程とする小脳性運動学習機構の原理を明らかにした, 4.小脳による眼球運動制御の原理を表現するモデルの構成を行った, ことである. これらの成果により当初の目標はほぼ達成されたが, 更に付随する重要な成果として, 5.組織培養において, 神経細胞の突起の成長を制御する技術が進み, また, 6.大脳の認知記憶系について平行して進めた研究において, 図形記憶ニューロンとも言うべき新しいニューロン群が発見されたことを挙げることが出来る. これらの成果はNATURE2篇を始めとする英文論文32, プロシーデイングス13, 著書2により発表, また, 国外の国際学界, シンポジュウム, ワークショップにおいて講演26, 一般発表5, 国内学会において発表32を行った.
|