1.ラットのP-450dのcDNAをプローブとしてウサギ肝ミクロソームの2種のβ-ナフトフラボン誘導性のチトクロムP-450のcDNAをクローニングし、それらのヌクレオチド配列を決定した。それから演繹された2種のP-450のアミノ酸配列は相互に約60%の相同性を示した。それらのアミノ酸配列はそれぞれラットのP-450cおよびP-450dの配列ときわめて高い相同性を示す。 2.ウサギ肝ミクロソームのフェノバルビタール誘導性のチトクロムP-450の完全長cDNA3種および不完全長のcDNA10種のクローンを単離し、それらのヌクレオチド配列を決定した。それらから演繹されたアミノ酸配列の比較から、フェノバルビタール誘導性のチトクロムP-450は少なくとも4つの群(各群間の相同性は50〜60%)に分けられ、また各群には微不均一性があることがわかった。 3.ラットのP-450cと相同性の高いウサギ肝ミクロソームのP-450の遺伝子のクローンを単離し、その構造を解析した。この遺伝子は7個のエキソンから成り、その構造はラットP-450cの遺伝子のそれとよく似ていることがわかった。 4.さきに構造解析を終えているラットP-450cの遺伝子の5′上流域のいろいろの領域をCAT遺伝子の上流につないで培養動物細胞内に入れCAT遺伝子の発現を調べることによって、P-450c遺伝子の上流には3つの異なる発現調節因子が存在すること、またその1つは誘導剤に特異的な発現に関与するエンハンサーであることが明らかとなった。 5.ラット肝ミクロソームからラノステロール14の脱メチル化活性のきわめて高いチトクロムP-450を精製した。このP-450は、肝ミクロソームの他のP-450と異なり、薬物代謝活性をほとんど示さないことが明らかとなった。
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