研究概要 |
【^(138)La】の放射壊変を利用したLa-Ce,La-Baの2つの地学時計の開発・確立および、これらを用いた地球の化学的進化の解明が本研究の中心的な課題である。 昨年度は、表面電離型質量分析計によるCe,Ba同位体比の測定方法の確立に重点をおいて研究を実施してきた。今年度は、地球化学的試料に、La-Ce,La-Baの地学時計を適用し、【^(138)La】の壊変定数の検討などを進めてきた。また、昨年度末に設置したプラズマイオン源無機元素分析システムについて、その調整・機能的諸特性の把握を行うとともに、このシステムによりOs同位体比の測定方法の開発を行った。 1.地球最古の岩石であるグリーンランドのAmitsoq片麻岩、およびフィランドのMistikkan【a!¨】ki ペグマタイトについてのLa-Ce年代掫求めた。各々につき、求められた31億年および21億年のLa-Ce年代は、同一試料について求められた24億年および18億年というSm-Nd年代とは系続的に差がある。これは、【^(138)La】の【B^-】壊変定数の従来の値(23×【10^(-12)】【Yr^(-1)】が小さく見積られていたためであり、壊変定数としては29〜30×【10^(-12)】【yr^(-1)】が妥当な数値と考えられることを示した。壊変定数の最終的な値については、さらに検討を加えている。また、Amitsoq片麻岩は37億年前に隕石のLa/Ce,Sm/Nd比と比較的近い値を持った物質から生成したことを明らかにした。 2.Amitsoq片麻岩およびMustikkam【a!¨】ki ペグマタイトについてはLa-Ba年代測定も行いっ各々について24億および17億年の年代を得た。Sm-Nd年代は各々、24億年,18億年である。このデータはLa-Ba年代測定法がほぼ確立されたことを示している。【^(138)La】の電子捕穫の壊変定数の正確な数値を決めるために、さらにデータを蓄積している。 3.南極隕石Y-791197についてのRb-Sr年代測定、REEパターンの研究により、この隕石が月の高地の斜長岩に対応することを示した。
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