今年度の研究は隔離環境下における小集団内の対人関係の発展の推移をみたものである。 2人又は3人のグループをそれぞれ8時間、閉鎖環境実験室に隔離した。各被験者の相互作用行動の観察およびポリグラフの記録は、実験中連続して行なった。また、対人印象のチェックリストを2時間毎に被験者に記入させた。 2人グループでは、個人的親和性が隔離時間の経過とともに増加した。相互作用のピークは実験開始後1時間半又は2時間後に現われた。言語行動の頻度は90-120分の顕著な周期変動を示した。手掌の皮膚電気反応は90-150分の範囲で明瞭なウルトラディアン周期を示した。隔離条件は2人の被験者間では相互作用を促進する効果があるように思われる。言語行動の頻度と皮膚電気反応の値は、隔離の初期段階から2被験者間で平行的に変化した。このことは、対人同調現象は隔離の初期から発展しはじめ、2人の被験者のそれぞれのウルトラディアンリズムを同期化することを示唆するものである。 3人グループの場合は、しかしながら隔離環境は対人相互関係に負の要因として作用した。隔離時間の経過とともに会話の頻度が減少し、個人的行動が増加した。 隔離環境下では、2人グループと3人グループの間には対人関係の発展に大きな差異のあることが本研究において見出された。
|