1.内外の精神薄弱児に関する後期中等教育プログラムの調査研究;外国に関しては、収集出来た諸資料を(1)アメリカ合衆国の後期中等教育プログラムの動向、(2)ソ連における培助学校生徒の職業選択指導、(3)その他、に分類し検討した。また、国内に関しては収集された201校からの資料を(1)主対象による高等部のタイプ、(2)学級編制における対応、(3)教育課程編成における対応、の項に分けて分析検討した。その結果、内外国いずれにおいても学校教育対象の拡大にともなって、教育プログラムの変更がせまられていることが分った。 2.生涯教育の観点からみた養護学校卒業生の実態に関する調査研究;全国の養護学校(精神薄弱)中、322校から収集されたアンケート調査資料を(1)進路状況、(2)アフターケア体制、の2点から集計および分析した。その結果、高等部卒業後福祉作業所や授産所等に進む者が多くなっていることや大部分の養護学校がアフターケアに関する施策を講じているが、専任教員の配当、予算の計上等がないために校内のやりくりにたよらざるを得ないといった現状であることが分った。 3.養護学校卒業生に対する再教育(社会参加)プログラムの開発;この課題については、(1)再教育プログラム作成-陶工作業をモデルとして-、(2)社会参加に必要な個人の適応能力の分析と指導プログラム、そして(3)両親・家庭教育を基礎とする就職後のアフターケア体制、の3点から卒業後社会不適応をおこしたケースに対して個別の再教育プログラムを作成し実験教育を施した。本研究課題はもっとも未開拓な課題かつ困難な課題であった。それぞれ1定の成果は認められたが、十分な再適応を可能にするためには、家庭の問題、受け入る社会の問題等が複雑に関係しており、それらの諸要因を考慮する必要性が認められた。本年度は前年度に残された研究課題の整理を終え、上記の内容を骨子とした「研究成果の報告書」の作成を研究作業の中心とした。
|