1資料の収集・整理 【i】)前年度までに基本資料の収集を終り、若干の補足的収集を行った。【ii】)整理と文献索引作成は当面の研究に必要な範囲に終ったので今後も継続する。【iii】)小山皓一郎は出張先のトルコ共和国において文書史料の調査につとめた。研究成果は別途発表の予定。 2研究会の開催 5月18日(報告者:四宮)5月25日(菊池)7月6日(三木)11月5日(菊池)11月30日(鈴木)2月8日(米村) 3成果報告書概要 代表者菊池は総論として「社会構造の質的転換をめぐる問題視角-中国における法と経済の比較史的考察を手掛りに」で理論的枠組を示し、特に日本の法と経済の近代化過程との対比を提起した。分担研究報告では、東アジアについて菊池は「中国の"近代地主"-特にその成立過程」を江蘇・河南・四川の事例に依り日本と比較、「中国における包工制の形態と構造」では上海棉業に特徴的な包身工制を日本の紡績女工における周旋人暗躍を生んだ法制的背景との比較において検討、中井英基は「清末民国初における股ひん有限公司の経営体質-南通大生紗廠の発展と利益処分」の経営史的分析を行い、三木聰は「土地革命と"郷族"-江西南部・福建西部地区について」伝統的家族結合と地主支配の関係が土地改革過程で如何に扱われたかを見、溯って濱島敦俊は「明清時代の地主=佃戸関係と法制」上の取扱いを、津田芳郎「部曲・客女から人力・女使へ」は唐宋間の国家身分構成原理の転換を論じた。南アジアについて高畠稔「ベンガル"地代法調査団"(1879-80)の借地権法草案-特にライヤットの権利について」地租裁定過程における政府の関与をオリッサ地方を中心に見、四宮宏貴は「1919年インド統治法体制」を概観した。北アジア・中央アジアについては菊池俊彦が「コリャーク民族区の成立とシベリアの少数民族問題」を扱い、北川誠一は12世紀コーカサスの「ムヒタル・ゴーシュ法典研究序説」で伝統法典成立の背景を論じた。
|