昭和58年9月に、パミール高原(4300米)にソ連研究者の盡力によって建設された170【m^2】のカーボン層60cmをれくむ2段型チェンバーは、約2年の露出を終って 昭和60年10月に日本に送り返され、無事に感光材料の現像を終り、超高エネルギーの宇宙線ファミリーの検出と測定の段階に入った。また59年7月に17【m^2】の鉛厚型チェンバー(40カスケード単位)が建設されたが、感光材料は一年間の露出の後に上記チェンバーと同時に日本に送り返され、現像処理を終った。 これまでに解析を終ったほぼ30【m^2】年の露出のテスト・チェンバーの解析の結果は昨年米国のサンディエゴで行われた第19回宇宙線会議で報告を行った。とくに宇宙線超高エネルギーのファミリーに見られる特異な貫通力の強いシャワー及びクラスターの研究を急いだが、それらの検出に成功し、その性質はチャカルタヤ実験で見出されたものと一致することが明らかとなり その存在はほぼ疑いのないものになりつつある。 一方最近現像を行った上記新チェンバーに、巨大な面積のX線フィルムの黒化(ハローと呼ぶ)をもつ観測エネルギー25000TeVをこえる大ファミリーが捕えられており、その測定の完成を急いでいる。この中心を占めるハローはカーボン層60cmを通して強い貫通力で上下段チェンバーを貫いており、附随するシャワー・スポットの観測によるとガンマ線・ハドロンをふくめて〜300ヶに達し、また両者のエネルギー・スペクトルのパワーは著るしく異っており、このような超高エネルギーにおける新しい粒子反応の存在を示唆していると考えられる。 その他、観測エネルギー1000TeVをこえる数多くのファミリーが豊富なバラエティで捕えられており、測定解析の結果が楽しみであり粒子反応の新知見を得ることを期待している。
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