1.H.halobiumは短波長の光から逃げる、すなわち、負の走光性をしめす。S-ロドプシン(sR)の光化学中間体【S_(373)】が負の走光性の愛容体であるとの仮設が提出されていたが、これを証明した。この仮設、が正しいならば、sRは588nmに吸収極大をもつので、これを励起し【S_(373)】を作る長波長の光の光量が負の走光性の強度のパラメータになる筈である。我々の研究室で以前開発した自動走性定量装置を用いて、これを実験的に証明した。 2.上述のように、【S_(373)】が励起されると負の走光性が発現されるので、Flash-photolysisの方法を用いて【S_(373)】を励起したときの光化学反応を調べた。まず、長波長のフラシュ光をsRに照射し【S_(373)】を作っておき、それが減衰してしまわない内に(実際は50ミリ秒後)373nmのフラッシュを与えた。この様な実験により、520nmに中間体が生成し、sRに戻る事が明らかになった。 3.上の1の実験の途中で、長波長の背景光がなくても、負の走光性が発現する事を発観した。この背景光非依存の負の走光性の作用スペクトルを測定すると、極大は480nmにあった。これは、1に述べた走光性のシステム以外に新しいシステムが存在することを意味する。Flash-photolysisによって、480nmに吸収極大のある色素の存在が示され、また、レチナールを発色団とすることも示された。すなわち、H.halobiumに存在する第4番目のレチナール蛋白を発見した。 4.この菌は長波長の光には寄って行く、正の走光性を示す。正の走光性の作用スペクトルを精密に測定すると、短波長側を除いて、sRの吸収スペクトルと一致した。短波長での不一致は第4番目の色素で説明出来る。よって、正の走光性の受容体はsRであろうと推論した。5.その他、ハロロドプシンの明暗順応や光化学反応、sRの低塩不安定性についても研究した。
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