研究概要 |
1.光励起ハロゲノナフトキノンと電子種富なビニルエーテルとの付加反応は、三重項励起状態から電荷移動型エキサイプレックスを経由して進行することが明らかとなった。溶液の極性は本反応の重要な制御因子であり、アセトニトリルのような強い極性溶媒中ではクオンラジカルとして解離してしまうために、反応の効率が著しく低下する。 2.チ-メトキシフェノールをテトラフェニルポルフィリン(TPP)と1,チ-ベンゾキノン(Q)の存在下で光照射すると2量化して、ジフェニルエーテル誘導体を与えることを見い出した。本反応はポルフィリンの光電子移動型増感反応により進行し、溶媒の極性以外にも、キノンの酸化還元電位・濃度ならびに4-メトキシフェノールとの電荷移動錯体能などが制御因子となる。 3.ビス-チロシン-修飾ポルフィリンを2.6-ジクロル-1.4-ベンゾキノンと光照射することにより、キノン-キャップドポルフィリンが一段階で合成できることがわかった。一連の光反応でキノンをポルフィリン側鎖に導入し、ポルフィリンからキノンへの分子内光電子移動反応の効率について検討したところ、両者のクロモファの距離と共に両者の相対的配向が極めて重要な制御因子であることを見い出した。 4.太陽光エネルギー貯蔵システムとして、ユバルトポルフィリンを用いたクワドリシクラン→ノルボルナジエンの発熱異性化反応を検討したところ、まずコバルト上の疎水ポケットに基質が取り込まれ、クワドリシクランのち員環上エキソ部位がコバルトのd電子の影響で攻撃されることがわかった。
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