フライアッシュの高効率集塵は、予定される石炭焚き火力発電の大幅増に対処すべき緊急の課題である。技術目標とされる煙突出口での煤塵量は、数密度分布の小さいサブミクロン領域のフライアッシュをも捕集の対象とするものであり、従来の集塵法では性能的に限界となる。本研究は、数密度が低くかつ超微粒子のフライアッシュを高効率かつ確実に捕集するものとしてミスト化とコロナ放電を併用した湿式電気集塵法の開発を目的とするものであり、第二段集塵機として既存の乾式集塵装置に組み込み、システムとしての高効率化を図るものである。 一昨年、昨年度の2ヵ年間において、平行平板間強制対流下の熱・物質移動についての電気流体力学的な基礎研究、および電気集塵モデル実験装置を用いた実験的研究により、電場集塵装置内での被除去粒子のミスト化および輸送-捕集の基本的特性、ならびにミスト化の併用による捕集性能の向上について明らかにした。本年度は、実用化に向けて捕集効率に対する運転条件および装置形状の関係について追究し、本手法の最適化を確立すると共に実機への適用に対する指針を示した。以下に得られた成果の概要を示す。 1.ミスト化を伴う電気流体場中での粒子の輸送・捕集過程を理論的・実験的に明らかにし、捕集効率に対する装置形状(ダクト長さ、幅)、レイノルズ数(流速)、EHDレイノルズ数(印加電圧)、およびミスト発生強さを表す無次元パラメータ(温度および湿度)の関係としての評価パラメータ式が得られた。 2.得られた評価パラメータ式により最適化の指針が示された。即ち、入力値としての通常乾式電気集塵装置から排気される湿り含塵ガスの流量、温度、湿度に対して、装置形状および運転条件が消費電力を考慮して最適化される。
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