【SF_6】ガスは、数気圧でGIS(ガス絶縁変電所)等に用いられている。このように高気圧封入のための高価な耐圧容器が必要となり、【SF_6】ガス絶縁の低い電圧階級での普及が阻まれている。1979年GIS国際会議において【SF_6】の絶縁能力利用の大幅な拡大を可能にするGISが発表され、現在【SF_6】と空気混合ガスの1.2気圧でのキュービクルの実用化が進められている。このGICの実現に際して生じる諸問題を実験的に把握し、GICの最適絶縁条件を見い出すことが本研究の目的である。本年度得られた結果は、次のようである。 1).【SF_6】+空気混合ガスの放電基礎パラメータである実効電離係数を不平等電界下の破壊電圧、破壊過程解析に利用しうるよう高E/P(2000V【cm^(-1)】【Torr^(-1)】)まで測定し、【SF_6】混合率の上昇でほぼ直線的に増加し(E/P>400)95%で極大値を示し(E/P>1200)、【SF_6】の値に達することを見い出した。 2).【SF_6】+空気混合ガスの不平等電界(針平板、丸棒平板電極)下における破壊電界強度測定を、直径1m長さ1.2mのテストキュービクルでガス圧1気圧の条件で行った。直流高電圧は、今年度予算で購入した最大200KVトランスを、インパルス電圧は、最大500KV発生装置を使用した。直流破壊特性では、【SF_6】混合率の増加で急激に上昇するが【SF_6】の耐圧を越えることはなく、インパルス特性で、【SF_6】5%と90%で極大値を持ち、90%で【SF_6】のそれを越え混合による相乗効果が認められた。 3).58年59年度で得られた諸結果を総合すると、平等電界下および【SF_6】の弱点である不平等電界下での特性から、【SF_6】80〜100%混合率の【SF_6】耐電圧を上回る混合ガスが、1気圧近辺でのGIC絶縁条件に最適ではないかと考えられる。また、本研究で実効電離係数の広範囲測定で、実用GICの破壊予測等に有効なデータを与えると思われる。
|