研究概要 |
昭和59年度の予備試験にひきつづき、60年度は岩大演習林の天然アカマツ林の全幹集材に開発集材機を導入し、スタンデイングスカイラインシステム(スパン155m,高低角16°24″)における下げ木集材作業試験を行なった結果、(1)DRKの機能は予備試験と全く同様の成果が安定して得られ、荷重の吊上げ走行は円滑に行なわれた。(2)DRKによる搬器速度は風力ガバナ制御と異なり任意に選べるので、3速の場合は150m距離で横取りが30mを越えなければ1サイクル6分以内で集材でき、平均1【m^3】荷重で時間当たり約10【m^3】の功程をあげ得ることが判明した。この能率は我が国1般のエンドレスタイラー方式を下らない高い値である。(3)実搬器の走行運動は荷重宙吊り時の方が鼻上げ時よりも動揺は少なく、DRKの釣合いトルクの限界近くで制御可能であることが分った。鼻上げ時はスリングが前後に搖れるので張力変動に影響されないためには、夛少DRKを強めに働かせなければならなかったが、それによる運転上の諸問題は全く起らなかった。(4)約400【m^3】の集材作業終了後、DRKのライニング摩耗量を測定したが、コーンのテーパーに最もよく当った個所でも0.1〜0.2mmに過ぎず、当らない不接触面も約30%残されていたことからみて、この程度の集材量では未だライニング面の馴染みにさえ至っていないことが知れ、予想以上に耐久性の大きい見通しを得た。(5)運転手のDRK制御動作は単純そのもので実搬器走行中は動作に変化がみられず、ハートチェッカーによる心拍数もその間減少ぎみで休憩時間と同じ傾向を示し、精神的にも解放感を覚えている実態を把握できた。以上の結果から、DRKの着想ならびに試作機としての総合試験結果は申し分なく、アレリカで一般のインターロック方式に比べ、はるかに構造が簡単であり、岩大式集材法における本機の実用性は極めて高く、この機構は他の干渉型索張り一般にも広く応用可能な展望を得た。
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