本研究は、アレルギー性炎症の基本メカニズムである白血球浸潤と血管透過性亢進に、プロテアーゼが関与していることが判明したのでこれらプロテアーゼに対する内因性抑制物質を分離し、アレルギー反応の制御機構を追求し、人のいわゆる難病の新らしい治療法を開発しようとするものである。【◯!1】皮膚由来のプロテアーゼ抑制物質(神原担当)正常モルモット皮膚抽出液のアルブミン分画にカリクレイン抑制物質があり、カリクレイン注射による血管透過を抑制した。一方、ツベルクリン反応部皮膚抽出液中に、炎症の強さに平行相関して【α_2】マクロアルブミン(【α_2】MA)が存在した。【◯!2】血漿抑制物質(山本担当)モルモット皮膚に見出された血管透過亢進因子はハーゲマン因子で、活性化ハーゲマン因子(β-HFa)に対する血漿抑制物質は【α_2】MAで、β-HFa投与による血管透過を完全に抑制した。【α_2】MAは抗原と混合投与ではアレルギー炎症の血管透過は抑制しないが、抗【α_2】MAウサギ抗体を血管内に投与し【α_2】MAが末梢血より完全に消失したモルモットに抗原を投与すると、0時間における血管透過は強く抑制された。これは、【α_2】MAが遅延型アレルギー反応の調節に関与している可能性を示し、その詳細なin vivoでの解折と人への応用は今後追求する必要が生じた。一方血漿中に【◯!1】で見られたと同様のカリクレイン抑制物質があり、カリクレイン注射による血管透過のほか、遅延型アレルギー反応部に見られるトリプシン様プロテアーゼをも抑制した。しかしin vivoで抗原と混合し惹起注射しても、血管透過は抑制せず、投与條件の吟味が今後必要となった。【◯!3】マクロファージ遊走因子産生酵素抑制性血漿因子(田中担当)【◯!2】のカリクレイン抑制物質は、マクロファージ遊走因子の産生に与かる内因性トリプシン様プロテアーゼ活性をin vitroで完全に抑制したが、in vivoでの検索は将来に残された。
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