研究概要 |
新しく開発したA-mode式超音波皮脂厚計(TATT TH-500)の実用化のための基礎的研究の第3年次として、前年度までの計測精度の検討およびLBM推定の検討を踏まえて、次に述べる2つの成果を報告する。 1) 日本人の皮下脂肪厚値の代表値を求めた。超音波皮脂厚計による男性1477人,女性1933人(計3410名)の皮脂厚計測値を集計して、性別・年齢別の各部位の代表値を作定した。計測部位は上腕部(bieeps,triceps),肩甲骨下角部,腸骨稜上部,大腿前部と後部,下腿後部であり、さらに付随する計測項目は身長,体重,胸囲,上腕囲,腹囲,大腿囲,下腿囲などである。これらの計測値の平均、標準偏を計算した。これによって、今後は計測値が性・年齢別に厚値であるかどうかを判定できるようになった。また、日本人の皮下脂肪厚の性・年齢別変化や変異を知ることができた。なお、標本数が十分ではないので、今後の資料の追加および再集計が期待される。 2) 体脂肪量の推定方法の検討をし、簡便だが、ヒューマン・カウンタ法(40K法)や水中体重法に比較して推定誤差の小さい計測法を求めた。性・年齢による体形の相違を乘り超えて安定した推定値が得られる式は、上腕前部と腸骨稜上部の皮下脂肪厚,上腕部と腹部の皮下脂肪断面図またはそれに身長を乘じたものを変量とする推定式が最も実用的であるとわかった。 今後は、計測データを蓄積することによって、さらに詳しい皮下脂肪厚の代表値が得られ、かつ、体脂肪量推定式が得られるよにする必要があるが、今年の成果がそれを今まで以上にやり易くした。つまり被検者に対して直ちにフィード・バックができるようになったので、協力を得ることがやさしくなったのである。
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