本年度は前年度に引き続きANTICIPATORの実用化のための検討が重ねられた。まず59年度に開発された大容量静止画ディスクファイルシステムの評価が行われた。実験の主眼は利用者がコンピュータを全く使用しなくとも、あたかも大型計算機を利用したのと同等の知識を得ることが可能か否かにあったため、今回の評価実験は静止画ディスク装置をスタンドアロンで使用した。その結果本システムは多少の化粧を施せば十分実用システムとして利用できることが確かめられた。しかし本装置はパーソナルコンピュータと容易に接続が可能であるので質問内容はパーソナルコンピュータ側に持たせ、抗菌薬の選択結果のみを静止画ディスクに持たせた方が、この装置としてはより発展性が高いことも示された。しかしながら実用化のみを考えるならば、複数の機器を接続するよりも単独の機器で稼働することが重要であると思われる。従ってANTICIPATORの実用化の1つとして、ランダムアクセス機能を持ったビデオディスクシステムが有望であることが示されたことになる。 一方、パーソナルコンピュータへの移植に関しても検討が重ねられた。その結果基本的にはパーソナルコンピュータ上でANTICIPATORを稼働させることは可能であるが、実用システムとしては適当でないというのが現時点におけるわれわれの判断である。本システムは、ある程度の頻度でデータメンテナンスが行われるが、パソコンネットが十分に発達していない現段階においては、むしろデータソースは1箇所に置いた方が利点が大きいことが主な理由である。 この分野におけるハードウエア及び利用環境の変化には目覚ましいものがあり、数年以内にはこれらの課題はかなりの部分が克服されていると思われる。その時点においては本システムもパソコン上で自由に稼働することであろう。
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