研究概要 |
【目的】現在人工呼吸器は臨床分野において広く普及しているが、殆んど陽圧型非生理学的換気方式のため臨床的問題点が指摘されている。一方横隔神経直接電気刺激による陰圧型換気方式も一部実用化されているが電極装着に伴う問題点が随伴する。これに対し経皮的横隔神経電気刺激法が研究されて来たが痛覚上の問題も生ずる。本研究においては前記問題点を補なうべく経皮的に横隔神経を電気及び磁気刺激する装置を試作しその有用性を検討し、更に刺激効果の監視装置として小型軽量気流計を試作した。 【方法】電気刺激装置は定電圧・定電流刺激が可能であり、電極配置は頚部横隔神経に対し並置型及び対向型で行なった。磁気刺激出力は"コ"の字形鉄芯内蔵の刺激コイルで構成されている。気流計は鼻孔用とし中空パイプに極小・極薄膜の感圧素子を配置し差圧-気流変換により気流速度を測定した。実験は成雑犬及びヒトを対象とした。刺激部位は成雑犬は頚部【C_5】〜【C_7】でヒトは【C_3】〜【C_5】である。刺激効果の検証としての測定項目は、換気流量、一回換気量、ECG及び血圧である。 【結果及び考察】経皮的横隔神経電気及び磁気刺激時の共通の結果を示す。【◯!1】片側横隔神経刺激にて自発呼吸を凌駕する有効一回換気量が得られた。【◯!2】一回換気量が最大となる飽和値が存在し、この範囲内で一回換気量が調節できる。電気刺激の場合は定電流・定電圧及び電極配置に依らず、最大有効換気量を得る刺激パルス周波数及びパルス幅はそれぞれ100±50Hz,0.5〜1.0m Secの範囲内にあり、又循環器系への有意の影響は認められなかった。磁気刺激においては頚部に多くの中枢神経が集中しており長時間刺激時の他神経系への影響を検討すべき問題点が残る。痛感は殆んどない。最後に小型気流計であるが、10【◯!/】×10mmの形状の場合流量抵抗8cm【H_2】O/l/secで気流速度1.2l/secまで3%以内で実用に供し得ることが分かる。
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