本研究は、核融合プラズマのイオン温度ならびに密度揺動測定のための遠赤外散乱計測用新ホモダイン検波システムを完成させることを目的として、昭和58年度より3年計画で実施された。 新ホモダイン法では2組のホモダイン検波器を用い、その位相関係を調節することにより、ホモダイン法でありながら搬送波を中心とする上下測波帯のスペクトル分布が分離して求まる。 本システムは、散乱光、局発光(入射光の一部)を導く光学系、ホモダイン検波を行うミクサ部、およびミクサ出力端から取り出される低周波信号を記録する部分から構成されている。 昭和58年度および59年度においては、山形ミラーとレンズを組み合わせた効率の良い光学系を考案・試作し、動作特性の理論解析ならびにシステムの特性試験を行った。 特性試験においては回転格子からの反射光を模乞散乱光として利用した。 特に、入射光の一部が迷光成分として含まれている場合について詳細に調べ、2つのミクサの位相を予め調節しておけば迷光の影響を完全に除去できることを確認した。 昭和60年度には、試作検波システムを用いて、当研究室の直線型乱流加熱プラズマおよびプラズマ研究所のJIPPT-【II】Uプラズマの密度揺動測定を行った。 特に前者の測定ではミクサの拾うパルス性雑音を低減するため、ミクサマウントを簡潔な構造のものに改め、二重シールドを施した。 これによりS/Nが改善され、測定された非対称スペクトル分布から、プラズマ波動の伝播方向が同定された。 後者の実験ではMHD振動による散乱波が観測され、そのスペクトル構造から定在波的振動が存在していると推定される。 以上、本研究の当初の目的はほぼ100%達成されたと言える。
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