研究概要 |
DNAの塩基配列データは本試験研究の始められた昭和58年頃より急速に増えだし、世界的な規模で収集して編集するデータバンクを作成する必要性が高まっていた。この研究では要望に答えるデータベース、もしくはデータバンクを作成する際の種々の問題点を探り、最も効果的なバンクを作るにはどうすればよいかの試行を実施した。またバンクに貯えられた塩基配列を利用するためのコンピューターソフトを開発し、バンクの利用方式も検討の対象とした。データバンク作成に関する成果は次の通りである。 1)塩基配列を発表した論文文献の収集を行い、年次毎の塩基配列の増加、ならびにバンクへ入力する基礎を作った。統計によれば昭和58年は文献総数約600であったものが、59年度1200、60年度1300と着実に増え、塩基総数も年間百万づつ増えている。この文献収集によりバンク作成の基盤を築くことができた。2)入力フォーマートの検討を行い、GenBank形式に近い日本DNA DATA BANK形式を作った。3)このフォーマートに基づいて実際の入力業務を行った。誤入力の程度や、入力の律速段階等の鍵的な業務内容が明らかになった。解析ソフトの開発およびその利用については次のような試みを行った。バンク作成と共に各地大学に設置されている大型計算機センターでその地方の研究者がアクセスできるようなソフトを作り、データ検索、解析が行えるようにした。このシステムによって、データバンクの更新がなされれば、日常的に研究者が塩基配列の解析を行うことが可能となる素地が確立された。解析プログラムも次第に充実し、プログラムパッケージとして利用されるようになった。初年度および第2年度にはコンピューター利用の講習会を開き,研究者が計算機に馴れるような便宜をはかった。米国および欧州のDNAデータバンクの作成にも協力し、日本DNAデータバンクの基礎を作った。
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