本研究は、大学における数学教育と、選択制に基づく高校数学の間の連絡を円滑にするため、その間隙にある数学の題材について個別的に学習できるような教材モデュールを開発し、学生・生徒が必要に応じて自学自習することを可能にすることを目的として発足した。 一方、並行して進められた総合研究A「先進技術社会における数学教育(代表者 藤田宏)」「分化と総合から見た高校数学カリキュラム(代表者 寺田文行)」ではカリキュラム構成の方策として、コアオプションモデュール方式が開発された。この方式は、共通に学習する部分(コア)と題材を選択して学習する部分(オプション)モデュール形式に組織して、それらの組み合わせによって生徒の多様性に応じようとするものである。本研究の目的とする教材モデュールは、上記のオプションモデュールの中でも、コアの内容の学習をさらに高めるためのオプション科目の中のものとして位置づけられる。 これは、同時に、それを履修せずに大学に入学した者に対しては、個別に自習するための補充教材にもなる。 この目的のため、現場教師へのアンケート調査および研究班内の討議によっていくつかの題材を選び、そのうち次の4つについてその内容のアウトラインを作成した。 1.整数の性質 2.指数対数関数 3.図形と方程式 4.微分と積分 作成の方針として、電卓やマイコンを積極的に利用し、数値例による実験や動的なグラフ表示を活用して、直観的、帰納的な理解をはかること、一つのまとまりのある学習としてのストーリーをもつことを強調した。
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