本研究の発端は、"リニアモータを人工心臓用アクチュエータに応用できないか"というアイデアであった。本報告書は、上のアイデアに対する解集でもある。本報告書は、6章構成によってまとめられている。 昭和58年度(1983)から昭和60年度(1985)までの過去3年間における本研究の成果をまとめると、以下の3項目になる。 1)補助型人工心臓駆動装置:平板状リニアパルスモータを人工心臓用アクチュエータへ応用し、これで補助型人工心臓駆動装置を構成した結果、携帯式の補助型人工心臓駆動装置となり得ることを動物実験で実証した。今後は、1年間の連続運転に耐えることができ、かつ一層の小型軽量化を目指した研究開発を推進したい。 2)全置換型人工心臓駆動装置:円筒状リニアパルスモータを全置換型人工心臓用アクチュエータへ応用し、全置換型人工心臓駆動装置を構成した結果、仔牛の心臓とほぼ同体積の人工心臓用アクチュエータを完成させることができた。まだ、解決すべき問題は、一層の小型軽量化、温度上昇、生体への順応性等と数多いが、完全人工心臓への一里塚を確保したといえよう。 3)これからの研究開発:リニアパルスモータと人工心臓とのドッキングは、一応成功したといえる。しかし、これからが本当の挑戦が始まることになろう。 本研究の最終年度において、リニアパルスモータとは、異った動作原理で動作する複合鉄心可動形リニア振動アクチュエータを試作した。これは、補助型人工心臓駆動装置への応用を狙ったものである。 さらに、全置換型人工心臓駆動装置への応用を考えたリニア直流モータも目下試作中である。
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